いよいよ6月も末、2011年も半年が過ぎるのですね。小学校ではプールが始まっています。近くを通ると、元気な子ども達の歓声が聞こえてきます。

 6月市議会では、北上の所属する厚生経済常任委員会において二つの請願が審議されました。

一つは、政府が進める「子ども・子育て新システム」については、「日本保育協会」や「全日本私立幼稚園連合会」などの団体が異論を唱えている現状であり、拙速に議論を進めず保護者や保育関係者の意見を広く聞くよう、市議会から国に意見書をあげて欲しいという内容です。北上はこの請願に賛成しました。

政府が「チルドレン ファースト」を掲げ、子ども・子育て支援施策を総合的に展開しようとする点は評価します。しかし、政府が進める「子ども・子育て新システム」には問題点が多くあると考えます。

問題点1 国の最低基準(ナショナルミニマム)撤廃。
 現行制度では、保育所の面積や職員配置基準は国が最低の基準を定めています。これを撤廃し、自治体の裁量に任せようという動きがあります。現在でも、国の最低基準以上の上乗せは自治体の判断で可能です。あえて最低基準をなくせば、保育の質の低下を招きかねません。

問題点2 自治体の保育実施責任放棄。
 児童福祉法では保育の実施を市町村に義務付けています。公立保育所であれ民間であれ、入所は各市町村に申し込み、入所決定がなされる仕組みになっています。これを各保育所と保護者との直接契約にすることが検討されているのです。保護者が自己責任で保育所を探して申し込み、各保育所が入所を決定するということになるのです。入所時の選抜試験を認めることも検討されています。障がいのある子どもや貧困家庭の子ども等、様々な課題を抱える子どもが排除される懸念があります。

問題点3 利用料を応益負担に。
 保育料は現行の保護者の収入に応じた応能負担から、利用に応じて負担が増える応益負担に変更されます。体操や音楽等、保育の内容によっては追加料金を認めることも検討されています。保育料の自由化は保護者の負担増加につながり、また保護者の収入による格差と選別が危惧されます。

保育に対する国と自治体の責任を後退させたり、これまでの基準や規制を緩和することでサービスの量を増やそうとすれば、保育の質の低下につながると考えます。子育て支援サービスの「量の拡大」を図るために、子どもの成育環境を犠牲にすることがあっては本末転倒です。「子どもの最善の利益」を第一に考えるべきです。
川西市議会は、新システム導入にあたっては保護者や保育関係者などの意見を広く聴取し、十分な議論を尽くすよう求める趣旨の意見書を賛成者多数で提出することとしました。
 

二つ目の請願は「平成の開国」として政府が参加を検討している「TPP」について、参加しないよう市議会として意見書の提出して欲しいという内容です。「TPP」とはシンガポール、ニュージーランド、ブルネイ、チリ、アメリカ、カナダ、オーストラリア等が加盟し、例外品目なき自由化を原則とする貿易協定です。TPP加盟は、日本の農林漁業を壊滅させるなど多くの問題点があると北上は認識しており、「参加しないこと」を求める請願に賛成しました。

 問題点1 現在40%の食料自給率を更に下げる。
 現在日本の食料自給率は約40%と大変に低い状況です。例えば、私たちの食生活を支える豆腐や味噌の原料である大豆の自給率は5%程度。TPPに参加すれば、益々外国の農産物が輸入されるでしょう。農水省の試算では食料自給率は14%に激減すると試算しています。人口1億人以上の国で食料自給率40%以下の国は世界ひろしといえども他にありません。暮らしの基礎である食料の自給率を更に下げることは、あってはならないと考えます

 問題点2 日本の環境と文化を破壊する。
 日本の農業生産は地形や面積から非効率的な面があります。しかし、手入れの行き届いた田畑や里山によって、保水力や生物多様性など日本の環境がまもられ、美しい風景を形成しているのです。そして地域の食生活、食文化を育んでいるのです。川西市でも学校給食に地元のお米や野菜を活用し、地産地消の取り組みを進めています。農業の衰退は、日本の環境や文化の破壊に繋がります。

 問題点3 失業社会を招く
 農林漁業の破壊は関連する他産業にも当然影響を与えます。食品加工、流通、飲食等、様々な業界へ何らかの影響が及ぶことは避けられません。またTPP参加は農産物貿易の自由化だけが問題ではありません。労働力の国を越えた移動の自由化も重要な目的となっています。いずれ自由貿易圏内の労賃は同じになると指摘する学者もあります。例えば、中国の労賃は日本の約10分の1ですが、日本の賃金にもそれに近づくことが考えられます。労働者は益々厳しい労働環境で過酷な競争を強いられます。低賃金、失業社会を招き、日本社会は安定・安心とはほど遠いものになってしまいます。

 この請願については継続審査を望む議員が多数でしたので、9月議会に審議が持ち越されました。